• 日本サルコペニア・フレイル学会雑誌

日本サルコペニア・フレイル学会(Japanese Association on Sarcopenia and Frailty)設立趣旨

 本学会の前身である日本サルコペニア・フレイル研究会は、平成26年に設立され、同年10月より研究会を開催し、サルコペニア、フレイルに関して研究の交流、情報発信を行って参りました。その間、経済財政諮問会議などにおいてフレイル予防の重要性が強調されており、まさに時代の要請に合致した研究会として発展してきました。本年には第3回目の研究発表会を行うとともに、第2回目のアジアフレイルサルコペニア学会を名古屋で開催し、本研究会の存在を世界的にアピールすることができました。第3回目の研究会においてはその参加者が500名を超え、ますます本領域の研究者を集めた研究会として年々参加者が増加しています。研究会の設立から2年半を経過し、さらに我々の活動を充実したものとし、国民の健康長寿に寄与するため、平成28年9月に一般社団法人となりました。引き続き皆様の温かいご支援をお願いするとともに、会員一丸となって、サルコペニア、フレイルの概念、予防、介入につき研究を行うとともに情報発信をしていく所存ですので、よろしくお願いいたします。

 さて、世界的に社会の高齢化は大きな問題となっていますが、高齢者の機能障害や要介護に至ることを予防するためには、疾病の管理とともに老年症候群の管理が重要です。なかでも生活機能障害を招き、健康長寿の妨げになるものとしてフレイルやサルコペニアが非常に注目されています。フレイルは高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、機能障害、要介護状態、死亡などの不幸な転機に陥りやすい状態とされ、生理的な加齢変化と機能障害、要介護状態の間にある状態として理解されており、サルコペニアは、加齢に伴って筋肉が減少し、握力や歩行速度の低下など機能的な側面をも含めて定義されています。サルコペニアが進行すると転倒、活動度低下が生じやすく、フレイルが進行して要介護状態につながる可能性が高くなり、高齢者の運動機能、身体機能を低下させるばかりでなく、生命予後、ADLを低下させてしまう場合が多く、その対策が必要です。すなわち、サルコペニアはフレイルの一つの重要な要因ともいえます。

 フレイルやサルコペニアはまだまだ一般の医療・介護専門職における認知度が低いために、適切で必要な介入が行われていないのが現状です。従って、その重要性を周知し、病態、疫学、介入法などについてエビデンスを構築することが喫緊の課題となっています。フレイル、サルコペニアに関する関心が多くの領域で高まりつつあるにもかかわらず、その研究は部分的な興味に集中する傾向があり、多領域の医療・介護専門職、研究者の情報交流による研究の展開が期待しにくい現状にあるといえます。本学会においては、老年医学、内科学、整形外科学、栄養学、代謝学、リハビリテーション医学、運動生理学、歯科・口腔外科学など多くの臨床・基礎研究分野におけるフレイル、サルコペニアに関する研究の発展を目指すとともに、医師のみならず、管理栄養士、療法士、看護師、薬剤師、社会福祉士など様々な医療・介護専門職及び基礎医学分野の研究者との交流の場として本学会を組織することにより、ますます深刻化する社会の高齢化に向けた対策の一助としたいと思います。このような趣旨にご賛同いただき、日本サルコペニア・フレイル学会に入会いただきますようお願いいたします。

平成28年10月吉日

日本サルコペニア・フレイル学会 代表理事
 荒井秀典

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